バベル

Babel
Βάβελ

地域・文化:グノーシス主義


 キリスト教の教父ヒッポリュトスが『全異端駁論』のなかで引用しているグノーシス派の神話「バルクの書」に登場する、悪の天使。アフロディテー、オムパレーとも言う。

 登場する神話については../ナースを参照のこと。バベルは原初の母性的存在エデムの子どもたる12人の天使の第一のものである。
 エデムが配偶者のエローエイムに見捨てられたときは、アフロディテー(Aphroditē, Ἀφροδίτη)として、彼女に命じられて人間のあいだに不倫と離婚を引き起こした。
 また、エローエイムが預言者としてヘーラクレースを遣わし、十二の功業を成し遂げさせたときは、オムパレー(Omphalē, Ὀμφάλη)としてのバベルは、彼に取り憑いて、力を剥ぎ取り、エデムの劣位なる力を着せて功業を空しくした。

 語源は明らかに旧約聖書の「バベルの塔」だろう。霊的存在としてはデモティック魔術パピルス(後3世紀)にその名がみえるが(b'bel)、アガトダイモーンであるとも言われており、悪性の存在ではない*1。また古代占星術文書の一部に惑星アフロディーテー(=金星)のダイモーンの一体としてバベトが挙げられており、これとの関連性を指摘する説もあるが、Petersonは否定している*2

関連項目


参考資料 - 資料/955: 276-282; 資料/956:201-206


*1 資料/957:46-47
*2 資料/958:398-399.

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Last-modified: 2013-09-11 (水) 19:29:35