ギルタブルルー

Girtablullû

地域・文化:アッカド


 ギルタブウル、ギルタブリル。
 「サソリ人間」。
 シュメールにおけるギルタブルウル。『ギルガメシュ叙事詩』では女性のギルタブルルも言及されているが、図像としては表現されなかったらしい。男性のギルタブルルは、全体的には人間だが、脚は鳥、腰のあたりからサソリの尾が生え、翼はなかったり、あるとすれば4枚生えていたりする。男根はパズズと同じように蛇。
 ギルタブルルの図像表現は古アッカド時代の円筒印章にまでさかのぼる。次に見られるのは中期アッシリアで、新アッシリア、新バビロニアでは有名になった。最後の図像はセレウコス朝に見られる。
 『ギルガメシュ叙事詩』の中では、地の果てのマーシュ山(Māšu)を妻とともに管理する恐ろしい姿の怪物であるとされた。
 マーシュ山が日の出入りの地であり太陽と関係が深いことからも分かるように、ギルタブルルは太陽神シャマシュの下僕であるとされ、たびたび有翼円盤を2人で支える図像が印章に彫りこまれた(物語とは違い2人とも男性、しかし儀式文書においては男女一対の人形を作れ、とある)。太陽との関係を示唆する最古の図像は古アッカド時代の印章に見られる。
 創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』では、ティアマトの11の怪物のうちの1つとされた。

 『ギルガメシュ叙事詩』において永遠の命を求めて彷徨っていたギルガメシュは地の果てマーシュ山にたどり着く(それまでの経緯はアルーの項目参照)。そこは上記のように太陽が出没する場所で、頂上は天にまで届き、ふもとは冥界にまで達していた。そしてそこの門を見張っていたのがギルタブルルーたちである。彼らの姿は、「その姿は死だ」つまり見たら死んでしまうほど恐ろしいとされた。これにはさしものギルガメシュもひるんだが、勇気を出してギルタブブルーに声をかけた。ギルタブブルーは妻と相談し、「何ゆえここに来たのか」と尋ねた。ギルガメシュは不死の命を持つウトナピシュティムに会うためだ、と答えた。ギルタブルルーは、これより先は太陽の日差しも差し込まず、完全な暗闇の中をずっといかなければならない、と警告した。しかしギルガメシュの決意は揺るがなかった。ギルタブルルーは門を開け、ギルガメシュは完全な暗闇の中を進んだのである。
 この後ギルガメシュはウトナピシュティムに出会い生命の水をもらったが、それは水浴びをしている最中に蛇にとられてしまった。失望したギルガメシュはウルクに帰っていった。おしまい。

 上半身が人間で下半身が鳥、尾がサソリになっていて弓を引いている姿の怪物がメソポタミアでは知られており(カッシート、新アッシリア、新バビロニア、セレウコス。野尻抱影の『星と伝説』にある「バビロニヤの蠍人」はこれのこと)、エザードは1965年にこれをギルタブルルーではないかとしたが、ヴェッヒェマンは1992年それに反論してこれはギルタブルルーではないと結論付けている。とはいえ直接的な文字資料が発見されてないので正確なところはわからないままである。

関連項目


参考資料 - 資料/225:; 資料/351:; 資料/350:


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Last-modified: 2010-06-28 (月) 05:59:53 (3809d)