羅刹

Rasetsu
らせつ

地域・文化:仏教


 梵語ラークシャサ(Rākṣasa)の音訳。パーリ語ではラッカサ(Rakkhasa)。女性はラークシャシー(Rākṣasī)、パーリ語でラッカシー(Rakkhasī)。こちらは音訳+意訳で羅刹女、または羅刹斯(ラセツシ)。

 仏典などにおける基本的な性質はラークシャサとあまり変わらない。一般的には悪い鬼(超自然的存在)のことで、人肉を食うとされる。空を飛ぶこともあれば地上を素早く走ることもできる。男性は非常に不細工だが、女性はきわめて美しい。とはいっても、どちらも人を食うのに変わりはない。毘沙門天が羅刹や夜叉などの鬼を従える。
 羅刹女だけが住む羅刹女島というのが知られている。男ばかりの船がこの島にたどり着くと、容姿秀麗な女性たちが彼らを迎える。船乗りたちはあらゆる快楽にふけるが、その快楽ののち、自分たちが食べられてしまうことを知り、ほうほうの体で逃げ出す、というもの。
 また、羅刹は地獄に住む獄卒であるともされ(たとえば阿傍羅刹)、牛や馬の姿になって罪人を食べては噛み下す、という。
 『今昔物語集』「肥後国の書生羅刹の難を免るる」では、女性なのに恐ろしい、どちらかというと鬼婆といったほうが近い羅刹鬼が登場する。この羅刹鬼は「鬼」と混同され、現代にいたる鬼のイメージの原典の一つとなっている。
 羅刹女は法華経などでは仏法を守護する存在とされている(十羅刹女、おじゅらっさん)。

 羅刹天となり「天」(deva)がつくと、食人鬼としての面影は消えうせ、単なる天部の一員となる。十二天の一人で、西南を守護する。破壊と滅亡をつかさどる。

関連項目


参考資料 -


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Last-modified: 2010-06-28 (月) 05:21:56