トゥンナーン

Tunnān
𐎚𐎐𐎐

地域・文化:ウガリト


 ウガリト文字からの音写:tnn。
 日本語には「竜」、英語には"dragon"と訳される怪物。ヘブライ語のタンニーン、アラビア語のティンニーンと語源は同じで、どれも英語でいうドラゴンのような、蛇型の神話的な動物を意味する。ウガリト神話においては、二つの尾を持っている蛇型の怪物らしい。
 トゥンナーン(竜)とリタンとヤムのややこしい関係については../リタンの項目を参照。ここでは、単純に解説する。
 神話『バアルの神殿』では、トゥンナーンは戦闘女神アナトに退治された怪物のうちの一つとして語られている。アナトは、トゥンナーンに「口輪」をはめて静めたという。また、場合によっては次の行にある「曲がりくねる蛇」で「7つ頭」の怪物であり、滅ぼされた怪物であると読み取ることもできる。
 その続きの神話『バアルとモート』の最後の部分にあたる太陽女神シャパシュへの賛歌では、工芸神コシャル・ハシスに、海に棲むアリシュとトゥンナーンを「射てしまえ」という表現が見られる。つまり、コシャル・ハシスもまた、アナトと並んでトゥンナーンを退治する神だとされている。ここでは過去形でないので、まだ海にはトゥンナーンが棲息していると考えられていたのかもしれない。
 また、別のテキストによると、バアルに退治されたことがほのめかされてもいる。

関連項目


参考資料 - 資料/135:; 資料/3?:s.v. ; RasSamraPa


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Last-modified: 2010-07-19 (月) 19:13:46