白昼

アケディア(Acedia)という言葉がある。日本語では「怠惰」と訳される、ヨーロッパ中世「七つの大罪」のうちの一つだ。
中世初期、アケディアは昼下がりにやってくる、今で言うアンニュイな気分のことであるとされた。これが大罪である――怠惰というのは勤勉を旨とする修道院生活ではもっとも避けるべきものだったのだ。アケディアを記述する神学者たちは、ときにそれを擬人化し、さらにはそれを「白昼の悪魔」の仕業だとすることさえあった。
旧約聖書にも、似たような名称の悪霊が現れる。それを神学者たちは喜んで「白昼の悪魔」の典拠となした。森林の中のヨーロッパの白昼と砂漠地帯の西アジアの白昼とでは全然意味が違っているのにもかかわらず。

ヨーロッパではアケディアは有名な学問の対象で、多くの研究書が出ている。日本ではあまり知られていないようだが、たとえばジョルジョ・アガンベン『スタンツェ』第1章が、この悪魔を取り扱っている。


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Last-modified: 2008-08-31 (日) 01:06:25