スキアポデス†
Sciapodes
地域・文化:博物誌
ギリシア語で「影脚」という意味。
プリニウスが引用するクテシアスによると、インドには脚が一本しかない種族がいる。彼らはモノコリと呼ばれ、驚くべき速さで跳躍する。同じ種族をスキアポデスともいう。なぜなら、酷暑の折、彼らは仰向けに横たわり、一本足を影にして日差しを避けるからである(『博物誌』VII.23)*1。
中世初期のセビーリャのイシドルスはラテン語「スキオポデス」(Sciopodes)、ギリシア語「スキオポダイ」(Skiopodai, Σκιόποδαι)という綴りで紹介し、この怪物たちは(インドではなく)エティオピアに住むと言われている、と述べる。ここでもやはり彼らの俊敏さが特記されている(『語源論』XI.3.23)*2。
モノコリ(monocoli)という別名はしばしば「一つ目の人」(キュクロプスなど)を意味するモノクリ(monoculi)と混同されたようである*3。たとえば1300年ごろに書かれた「ヘレフォード図」では、一本足の人のところにモノコリではなくモノクリと書かれている*4。
また、1247年ごろの『世界の像』(l'Image du monde)はインドの種族としてキュクロプスを紹介しているが、その特徴として、日差しよけに十分なほど幅の広い一本足を持っている、と書いている。ただしこの点についてはモノクリとモノコリの混同ではなく、依拠したホノリウス『世界の像について』(De imagine mundi)第1巻第12章「怪物について」の読み間違いという説もある。ホノリウスは次のように述べる。「また、モノクリとアリマスピとキクロペスがいる。またスキノポダエがいるが、彼らは一つの大きな脚で風のごとく走り、地面では、その脚を持ち上げて自分がその影に入るようにする」*5。彼はキクロペスについて何の説明もせず、スキアポデスについては説明をしている。このどき、両者の取り違えがあったのではないかという説である*6。
下の画像はwikimediaより。『ニュルンベルク年代記』(ドイツ、1493年)。
関連項目†
参考資料 - 資料/24: