ジン

Djinn, Ǧinn

地域・文化:アラビア;イスラーム文化圏


 目に見えない精霊的存在の総称。妖霊、精霊、霊鬼、魔神などと訳される。
 『クルアーン』によれば、ジンは人間が土から作られる前に炎から作られた、とある。なお、天使は光から作られたとされている。イスラム教以前には、ジンは火と煙と土から作られたと考えられた。また、マスウーディー(9-10世紀)は「ジンたちは卵から生まれた」としている。
 ジンの姿は本来は目に見えないもので、自由に様々な姿をとることができる。空を飛ぶこともでき、知恵も力も人間にまさる。指輪の精霊やランプの精霊はジンの一種で、イフリートと呼ばれる。イスラム教によれば、ジンの親玉は元天使のイブリースで、彼が堕天したあとジンを統率しているという。ジンの中には邪悪なものもいれば善性のものもおり、ソロモン王など強力な人間の魔術によって従っていることもある。
 ジンの善霊が憑依した人間は聖者や詩人、巫者になるが、悪霊が取り憑けば狂人になる。これらはJannaの受動形マジュヌーン(Majnūn)と呼ばれ、普通は狂人を意味するが、イスラム以前から、秀逸な詩はジンに取り憑かれることによって初めて生まれたとされる。
 ジンのレベルとしては、強い順にマーリド、イフリート、シャイターン、ジン、ジャーンとする説、マーリド、イフリート、アウン、シャイターン、ジンとする説などがある。

 トルコ語でも発音はよく似たジン(Cin)。子供が癇癪を起こしたり泣き喚くのはジンの仕業とされることもあるようだ。また、ジンの怒りによって麻痺が起こったり、わけもなく悪いことが起こることもあるという*1

関連項目


参考資料 - 資料/164:


*1 資料/575:71

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Last-modified: 2010-06-28 (月) 06:03:36