ツヴェルク

Zwerg

地域・文化:ドイツ


 現代ドイツ語における「小人」。
 東中部ドイツ方言ではクヴェルク(Querg)とも。
 古高ドイツ語twerg、古ザクセン語gidwerg、古フリジア語dwerch、中高ドイツ語twerc, querh。想定されるゲルマン祖語は*dwerga-。他のゲルマン諸語については「../ドワーフ」参照。

 小さな人の総称。つまり。小人。南ドイツではエルドメンヒェン(Erdmanchen: 大地の小人)、北ドイツではウンターイルディッシュ(Unterirdisch: 地下に住む人)とも呼ばれる。
 ツヴェルクは小人であるが、もともとは名前が示すように大地の精霊であった。山の中の泉、井戸、岩の割れ目、塚の中、洞窟などに住み、人間の家に住みつくことはない。姿は、背が低いのはもちろん、ぶかっこうで醜い老人の姿をしている。そのせいか彼らは人間に姿を見られるのを嫌い、気に入った人には進んで奉仕するが、嫌いになったら、または嫌いな人間にはその家畜でもって復讐する。嫌いな人間とは住居を暴こうとしたり彼らの財宝を奪おうとした人間たちである。奉仕する内容はさまざまであり、家事の手伝いや物貸し、荒天や災害の予知などをしてくれる。その見返りに、人間は物を貸したり、お産の手伝いをしたり、移住のとき船で河を渡してやったりする。

 ツヴェルクとして最も有名なのは『白雪姫』の七人の小人(ジーベン・ツヴェルゲ sieben zwerge)や、『ニーベルンゲンの歌』のアルプリーヒなどである。前者は伝承の採集された年代が新しく、人間的な小人として白雪姫を丁寧に介抱する(ただし初版グリム童話では違う)。後者はより古い伝承に基づいており、北欧神話の小人に近い。アルプリーヒは英雄ジーフリトに敗れ、彼の宝物である隠兜をうばわれ、宝物の番人にされてしまう。アルプリーヒいう言葉はエルベリッヒ(Elberich)やオーベロン(Auberon)、オベロン(Oberon)と変化し、スペンサーの『妖精女王』やシェイクスピアの『真夏の夜の夢』に登場する。

関連項目


参考資料 - 資料/15(22):820; 資料/125:


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Last-modified: 2010-06-28 (月) 05:39:09